16章 君のために

6/36
前へ
/36ページ
次へ
晶さんに捨てられなくて良かったと胸を撫で下ろす。 「なんだ、ぶちゃいくちゃんか…」 そういや、この間撮ったって社長が見せたウィスキーのポスターも背中向けでマリオに抱き締められてて顔が見えなかった──。 完全顔出しNGか? でも難攻不落のマリオがご執心なんだ。もしかしてマリオってJB(純ブス)専? それか徹底実力志向か…… 「オファーきた仕事ってなんだったの?」 「カップラーメンだと」 「カップラーメン!? マリオが!?」 「ああ、熱清フーズのな」 「やっぱ大手じゃん、でもマリオがラーメン…て」 イメージ沸かない… 新ジャンル開拓か? 男性化粧品に高級車…大人の男を意識したイメージが売りのマリオが── 「カップラーメンとマリオ……やっぱ想像できない…」 ブランドスーツを着たマリオとカップラーメンを頭の中で合成させてみた俺はポツリと呟いていた。 楠木さんは奥の部屋で電話片手に何やらずっと交渉中だ。 「撮影の日に丁度、連休取ってるけど予定があるから無理だって」 「そうか…」 電話の内容を報告する楠木さんに社長は渋い顔を向けていた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加