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「ロケ場はどこだって?」
「北海道だって。冬に新発売の“味噌コーンチャウダー味”とかの撮影らしい」
「北海道か──…よし、わかった」
社長は楠木さんと背中を向けてボソボソと話し込む。
「聖夜はどこの温泉予約したんだ?」
「九州だけど…」
「九州か? なら真逆の北海道に決まりだな」
「──…」
なぜ!?──
「そっちは叔父として俺が金出してやる。九州はキャンセルしろ。いいな?」
「……?…場所変えれば行ってもいいわけ?」
「ああ」
なんだそれ?
「旅館は取ってやるから」
「予約入れるなら個室露天風呂は絶対外せないから」
「なに企んでんだお前はっ…たく、イヤラシイやつだなっ」
社長は言いながら事務所の電話を手にしていた。
「どうせだから俺も行く」
「はっ!?やめろよ保護者同伴なんてっ!?」
なんもデキネーじゃんっ!?
「俺も彼女連れて行くんだよっ! 誰がお前らと同じ部屋に泊まるっつった?」
「……っ…」
旨いもの食いの社長は北海道に行き着けの旅館があるらしい。手慣れた様子で予約を入れた社長は受話器を置くと、楠木さんにまた内緒話しを持ち掛ける。
「これで晶を現地にスタンバイさせて置けばもし舞花が無理でもすぐに対応出来る──…晶にも予定変更で連絡しておいてくれ」
社長の小さな話声に楠木さんは頷いて返していた。
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