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彼の名前は白塚 光世(しらつか こうせい)。俺の前の席の住人だ。彼とは古くからの付き合いで、所謂、幼馴染という奴だ。中学までは一緒に剣道部に入っており、今ではお互い仲良く帰宅部となっている。彼は俺が知る限り最高にいい奴だ。5人兄弟の長男だからか、面倒見がよく、俺をいつも助けてくれたヒーロー的存在だ。突出したものはないが、彼には人を引き付ける人望がある気がする。
(よく見てんじゃねーか。)いきなりブブが話してきた。こいつはいつも急に来る。
(ブブ、今の恥ずかしい話聞いてた。)
(大丈夫だ。声には出してなかった。)
(そういう問題じゃないだけどな。まあ、そうだな。本当に付き合いは長いからな。)
すると今度はこうせいから話を振ってきた。
「ところでよ、誠。俺この前すっごいことがあったんだってよ。」
「ん、何だよ、すごいことって。」
「実はさ、信じないかもしんないけど、俺サタンとかいう悪魔と出会ってさ。」
「おいお前、その話詳しく聞かせろ。」
(あれ、なんだこれ?なんで俺体動かせないの。)
どういうわけか、視覚、聴覚、触覚はあるにも関わらず、急に動けなくなった。まるで誰かに体を乗っ取られたみたいだ。
「おいどうした誠。お前目が急に赤くなって・・・」
「早く言えよ、お前。」
そういうと俺の体はこうせいの胸ぐらを掴んでいた。机は倒れ、大きな音がした。クラスの皆は何が起こったのか分からないという風な目で俺達を見つめていた。
(おい何してんだ俺。やめろ。)
「場所を変えるぞ。」
俺はそう言うが早いか、こうせいの胸ぐらを掴んだまま廊下まで引っ張っていった。
こうせいは少し咳こんでから言った。
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