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「こんな時間なのに、こんな時間なのに……っ!」
「夜中に食うカップラーメンはうめぇよな」
晩飯とは別の夜食に、カップラーメン。体を蝕む快楽だ。
一通りゲームをして目が疲れた二人はボードゲームに勤しんでいた。ルールを知っているだけの素人同士のチェスはなかなかの地獄絵図である。
「ありがとな」
「?」
恭太は、真帆のポーンを倒しながら。
「皆、気ぃ遣うんだよ。俺に。変わらず接してくれる奴もいるけど、それでもやっぱり前とは違う。なんつーか……真帆ちゃんみたいのは、初めてだ。」
「な、なん……なん。なんか、照れくさいにぁ?」
嬉しさと恥ずかしさで頬が緩んで、それに吊られて語尾も緩む。
「ありがと、な」
恭太も少し頬を染め、そっぽ向きながら言う。
「なんで目逸らすの?」
「いや……こっ恥ずかしいだろ」
「え??」
何でも軽い調子でこなしてしまう彼でも、案外こういう事は恥ずかしがったりするのか、と少し嬉しくなる。
「こっち見て言ってよぉ」
「おいちょ、やめ、近づくな」
仲間を見つけた、というよりは天敵の弱点を見つけた喜びに近い。恭太は這い寄る真帆から顔を逸らして後ずさりするが──
「やめ、ろ、って」
膝あたりまで攻めてきた真帆の手をすくい上げ、足元のチェス盤と一緒にひっくり返し。
馬乗りになる。
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