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それから、いろんな所に行った。
真帆が水族館に行きたいと言えば行き、恭太がバーベキューをしたいと言えば行った。互いの家にだって泊まった。山に行って川で釣りをし、アウトレットで服を買い、テーマパークで阿保ほど叫んだ。知らない人に話しかけてオススメの店を聞いてまわったり、関東限定でダーツの旅紛いのこともした。
二人の貯めた小遣いとバイト代をじゃぶじゃぶ使って、ガンガン遊んだ。
次第に、恭太は遊ぶにも休憩が必要になってきた。
「何かもう、晩年って感じだなあ」
「………」
死ぬまで付きまとうよ!
そんな事を言った。
わかっていた。
わかってはいても、割り切っていた訳ではない。
否、ある程度割り切れていると思っていた。
しかし、実際その時が近付いてくるのをこうして感じてみると、恭太との距離がここまで近づくと、割り切れてなどいないのだとわからされる。
「余命宣告されてさ、後悔したんだよ。将来楽に生きる為にある程度勉強して、生徒会なんて面倒くさいのもやってさ。それ全部時間の無駄じゃんって。」
「恭太君……」
「でも、学校に行ってて良かったよ。お陰で、会えたからな。それに俺が病気じゃなけりゃ、俺の最高の恋人はそもそも俺にアタックしてくれなかったでしょ。」
「恭太くぅん……」
病気のお陰で、なんて言いたくない。でも、そんな言い方をしてしまうほど自分が彼の支えになれたのなら、それだけは良かったと言える。
「人生に満足なんて全然してない。もっと真帆ちゃんといたい。恋人を置いて失せるなんて最悪だけど、間違いなく君と出会ってからが俺の最高潮だ。ありがとう。」
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