捨てたミライで、拾ったミライ

2/3
前へ
/16ページ
次へ
 それから、いろんな所に行った。  真帆が水族館に行きたいと言えば行き、恭太がバーベキューをしたいと言えば行った。互いの家にだって泊まった。山に行って川で釣りをし、アウトレットで服を買い、テーマパークで阿保ほど叫んだ。知らない人に話しかけてオススメの店を聞いてまわったり、関東限定でダーツの旅紛いのこともした。  二人の貯めた小遣いとバイト代をじゃぶじゃぶ使って、ガンガン遊んだ。  次第に、恭太は遊ぶにも休憩が必要になってきた。 「何かもう、晩年って感じだなあ」 「………」  死ぬまで付きまとうよ!  そんな事を言った。  わかっていた。  わかってはいても、割り切っていた訳ではない。  否、ある程度割り切れていると思っていた。  しかし、実際その時が近付いてくるのをこうして感じてみると、恭太との距離がここまで近づくと、割り切れてなどいないのだとわからされる。 「余命宣告されてさ、後悔したんだよ。将来楽に生きる為にある程度勉強して、生徒会なんて面倒くさいのもやってさ。それ全部時間の無駄じゃんって。」 「恭太君……」 「でも、学校に行ってて良かったよ。お陰で、会えたからな。それに俺が病気じゃなけりゃ、俺の最高の恋人はそもそも俺にアタックしてくれなかったでしょ。」 「恭太くぅん……」  病気のお陰で、なんて言いたくない。でも、そんな言い方をしてしまうほど自分が彼の支えになれたのなら、それだけは良かったと言える。 「人生に満足なんて全然してない。もっと真帆ちゃんといたい。恋人を置いて失せるなんて最悪だけど、間違いなく君と出会ってからが俺の最高潮だ。ありがとう。」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加