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インターホンを連打──したいのだが、それが出来るタイプでなかったので止まらない勢いを足へ送り、その場で足踏みをする。
『あ、真帆ちゃん。どうし──』
「お義母さん!入れて入れて!恭太君いますか!?」
『え、ああ、まだ寝てるけど』
学校をサボって遊んでいるのにお互いの両親との関係は良好。すっかり【お義父さん】と【お義母さん】だ。
「いらっしゃい。そんなに急いでど──」
「オジャマシマスアトデハナシマス恭太ぁぁぁぁぁ!!」
お義母さんを置いて音速で恭太の部屋に直行、ドアをぶち開けてまだ眠る恭太に飛びつく。
「恭太君!恭太君恭太君恭太君!恭太!恭太ァ!起きろぉぉぉぉ!!」
「んー………うるせぇ寿命縮む……」
この手のジョークは二人の間ではすっかり慣れたやりとり。しかし真帆はそれに全く取り合わない。
「ほら!これ!冥土の土産……いや連れてかれたら困るけど……いいから見ろ!」
「ぁー……?まだ六時じゃぁーん──」
"それ"が目に入った途端、恭太の眠気はお先に冥土入りする。
「え、おい、これ……!」
「そぉだよぉぉ」
恭太の布団が涙と鼻水でびちゃびちゃになる。
「は、はは……」
良かった。
良い、人生だった。
馬鹿みたいに早い終わりだけど。
最高の、人生だった。
真帆に出会えて良かった。
真帆が、俺を好きになってくれて良かった。
あの時、未来を捨ててよかった。
将来という概念を諦めて、今を生きようと決心して、良かった。
好き勝手に生きて、良かった。
学校サボってやりたい事しまくってこのラスト。
くそったれな閉幕にしては、良すぎる結末だ。
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