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「──エ」
真帆は少し目を泳がせつつ、大きく深呼吸して足に力を入れ。決意を更に踏み固める。
「最初は、一目惚れだよ!辛島君追って生徒会入って、お近づきになれればって!なのに……なのに急にいなくなっちゃうなんて!だぁ、から、……ぅぅ……」
さっきは無理して飲み込んだ涙も。思いを吐き出せば、一緒に出てきてしまう。片方だけ吐くなんて器用な真似できない。
でも。泣きながらでも、吐きそうになりながらでも、伝える。一秒でも早く伝えなきゃいけない。
「だ、から、私を、残りの人生で隣に、置いて下さい……」
女の子だと言うのに、人前だというのに、ましてや好きな人の前だと言うのに。顔をぐちゃぐちゃにして、盛大に泣きじゃくる。
そんな少女を廊下に置いて。
「ごめん。ちょっと。」
恭太は踵を返し、教室に戻る。
世界が、停止したようだった。
周りが、自分以外が真っ白になって、そして目の前は真っ暗。大した仲でもない女にこんなに重たい告白をされて、ドン引きしたのだろうか。きっとしたのだろう。
あっけない。
自分で振り返っても、重たすぎる。必死になっていたが、考えてみれば身勝手だ。相手は残り短い人生だと言うのに、その時間を私に割いてくれと言われたようなもの。
傲慢すぎる。
生意気だ。フラレて当然、ざまあみろ自分。
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