迫る脅威

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「そーいうこと。俺等、方向感覚と地形の特徴を覚える事はもの凄く訓練されるんだ。地図の作成なんかもするかな」 「第二、凄いんだね……」  ボリスの呟きに、第一師団がもの凄い勢いで頷いた。 「そう言えば以前にも、お前等詳細な地図作ってたな」 「あれには驚きました」 「俺達からすると、この森を地図もなしに行き来できるお二人が疑問でなりませんけれどね」  ランバートは苦笑する。フェレスもリスクスもまったく迷う様子がない。今自分がどこにいて、どこに向かっているのかが明確な感じがする。  フェレスの方は首を傾げ辺りを見回す。そしてさも当然と、とんでもない事を口にした。 「木の一つをとっても、同じのはねぇ。並びや枝のつきかたが違う」 「……えぇ?」  つまり彼らは森の木々を全て頭に入れているとでも言いたいのか。コレがもし本当なら、彼らこそ超人だろう。  一行は途中休みながらも五時間ほど森を進んだ。これでもまだ三分の一程度らしい。  体重のあるドゥーガルドを筆頭に、ゼロスもやボリスも多少足が怠くなっている。そして荷物の重いクリフの体力がかなり危なくなってきた。  その時、突如リスクスが立ち止まり周囲を見回す。耳を澄ますようにした彼は厳しい表情でフェレスを見た。 「雪が降ります」 「え?」     
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