いざ森へ

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 チェスターが緊張した様子で構える。雪山行軍で狼に襲われたのだから当然の反応だろう。だがランバートはむしろ懐かしく思えた。大きく凜々しいグレーの狼が、こちらを見て僅かに瞳を眇めた。 「マケ」  呼んでみるとグレーの狼、マケが前に出てフェレスの隣りに並ぶ。そして少し遅れて真っ白な狼も前に出た。 「ソルも元気そうだ」 「おうよ。離れてる間、こいつらの事がとにかく心配だったんだがな。なんて事はない、元気だよ」 「当然ですよ。彼らは貴方の子飼いではありますが、野生なのですから」  リスクスがおかしそうに笑い、フェレスは少し照れている。心配しすぎの兄のようだ。 「この狼って、フェレスさんが飼ってんの?」  レイバンが不思議そうな顔で言う。興味津々の様子に皆が苦笑するが、側でドゥーガルドがやや怯えていた。 「飼ってるわけじゃねぇよ。一緒に育った兄弟だ。俺は獣の声を聞き、獣に語る声を持ってる。特に狼とは親和なんだ。こいつら俺の家族だよ」 「エルの特別な力ってやつか。いつ聞いても不思議だ」  警戒していたゼロスも多少安心して警戒を緩める。  ランバートなどは知っている狼が多少いて、ラウルと一緒に側に行って少し硬い毛を撫でていた。 「ここからはこいつらが周囲を警戒しながら先導もしてくれる。厄介な獣に遭遇しても、こいつらの鼻と耳で早く検知できるからな」 「厄介な獣?」     
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