いざ森へ

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 眉根を寄せたボリスが途端に険しい顔をする。それに、リスクスはとても言いづらそうな顔で伝えた。 「熊です」 「熊って……普通冬眠するよね?」  実に当然とハリーが眉尻を下げた。他も困惑した様子だ。ランバートだって困惑する。冬の深い季節、熊は冬眠するものというのが一般的な常識だ。  だがリスクスはとても深刻そうな顔で首を横に振った。 「穴持たずという熊がいるのです」 「穴持たず?」 「体が馬鹿でかくて、寝床に出来る穴が見つかんなかった熊だ。主にオスが多い。こいつらは厄介だ、とにかく凶暴でデカイ。普通は冬眠して食料や体力を温存してるのに対して、こいつらは常に飢えてやがる。狼も人間も、こいつらにかかると食われる」  その言葉に、全員が一瞬凍り付いた。  そんな脅威があることは想定していなかった。寒さや吹雪に対する備えはしてきたが、まさか熊を相手に戦う事になるかもしれないとは。  だがリスクスは困ったように笑い、フェレスも苦笑して全員を連れて更に奥へと入っていく。後に続く騎士団の面々が、むしろ動きが硬くなった。 「なに、心配すんなよ。そんなの会うほうが珍しい。そんな、何匹もいるわけじゃねー」     
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