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クリフが少し心配そうに言う。確かに彼らに助けられっぱなしだ。今も外にいて、辺りを警戒している。
「さっき、言われた通りに出汁取った後の骨をあげてきたけど……あんなんでいいのか?」
「あいつらはあいつらで狩りをする。この森は豊かだって言っただろ? 冬でも動いてる動物はかなりいる。そんなのを狩って食ってるんだ。餌付けは逆にあいつらから野生を取っちまう」
「彼らはあくまで協力してくれるだけですよ」
自然と人とが共にある事の線引きは難しい。それを妙に実感する。
ゼロスはスープを飲みながら、ふとフェレスへと視線を向けた。
「さっき話しのあった穴持たずという熊だが」
「ん?」
「貴方は獣と会話ができるのだろ? それとも、熊とはできないのか?」
問われ、フェレスは難しい顔をする。腕を組み、うーんと唸っていた。
「できなくはない。ただ、話しができるんであって操る事はできない」
「と、いうと?」
「相手が聞く耳持てば会話ができる。だが、こっちの話しを聞く気のない奴相手は無理だ。しかも交渉しても決裂すると結果は悪い。相手は人間よりも単純な欲望で動いてる。腹ぺこ相手に『食わないでくれ』と言っても、聞き入れられねーよ」
これには全員が納得せざるを得ない。確かに動物は三大欲求に忠実な感じがする。
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