いざ森へ

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「マケ達はあれで優秀でな。見境なく人間襲って食うほど飢えてないし、小さな頃から人の側にいた。人間を食い物と認識してねぇ。だからこれだけ側にいても平気なんだ」 「普通の獣はそうではありませんからね」  二人の話にそれぞれ納得して、十分に気をつけようと明日は陣形を取る事にした。  その夜、数時間おきに交代で火の番をする事になった。ランバートは夜中に起きて焚き火のある場所に向かう。そこには既にパートナーが、大人しく座っていた。 「あぁ、ランバート。起きたの」 「待たせたか、チェルル」 「ううん、平気。なんか色々考えてて、眠れなかったし」  そう言ったチェルルは火を絶やさぬように気をつけながら側にいる。その側に座ったランバートは、ずっと気になっている事を聞いてみた。 「その首のやつ、首輪……だよな?」 「ん?」  チェルルのコートの首元、ほんの少し上から見ると見えるのだ。丁寧になめした赤い革製で、ベルトタイプ。そこに一粒、緑色の宝石が埋まっている。革の表面には幾何学模様が彫り込まれていて、一目でオーダー品だと分かるものだ。  とても嬉しそうに、チェルルは自分の首輪に触れている。それは見た事のない、幸せな表情だ。これだけで、彼の気持ちが知れる。 「マジか……」 「分かる?」 「あの兄上が好きとか、強者」 「そんな事ないよ。先生、とてもいい人で優しいよ」     
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