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「アレのどこがいい人で優しいんだ」
関心のない人間の生死に一切の頓着をせず、どれほど非道をしようが屁とも思っていない。コレが始末となると凄く楽しそうだ。人体実験も平気な人なんだ。
だが、ランバートの思いを見透かしながらもチェルルは苦笑する。そしてとても大切に首輪を撫でている。
「言いたい事、分かるけれどね。どうでもいい相手に対して、もの凄く冷淡だって言いたいんでしょ?」
「分かってるなら……」
「でも、懐に入れた相手にはとても親切で、優しいんだよ。それに、寂しがり屋だと思う」
「……」
チェルルの目にはどんな風に、ハムレットは映っているのだろう。間違っているわけでも、極端に歪曲されているわけでもない。そこを含めて、彼は「好き」なんだ。
「俺さ、身よりもないし、いい生活はしてないし、汚れ仕事ばっかでね。信頼とかはあっても、あんなに側を許された事って仲間以外だとないんだ」
ぽつりと溢すような言葉を聞きながら、焚き火に薪をくべる。黒い瞳に、炎の赤がゆらゆらと揺れた。
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