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迫る脅威
翌日は早めに隠れ家を出て、更に奥へと向かった。日差しが差した雪原は薄く輝いていて、「綺麗だね」とクリフは微笑んでいた。
かつて行った事のない奥は、もっと木々が鬱蒼としている。地表は雪に覆われ木の凹凸はないものの、やはり雪は深く足を取られる。体重の重いドゥーガルドはその分沈み込むから歩きづらく、最後尾をついてくる狼に鼻先で押されていた。
逆に身の軽いラウルやチェルルは軽やかに狼の隣を歩いている。ハリーも慣れたようで先頭集団だ。
「それにしても、本当に特徴がないな。方向が分からない」
周囲を見回すゼロスがそんな事を言い、ボリスも「わかる」と頷いている。
だがランバートとチェスターは顔を見合わせ、辺りを見回して指を指した。
「間違いなくこっちが東だよな?」
「うん。昨日泊まった場所からやや北に寄ってきてるかもだけど、東に進んでる」
「……どうして分かるんだ?」
コンラッドが困惑顔で言ってくるが、こればかりは訓練の賜だろうか。
「第二は斥候と潜入もあるだろ。そんな任務中に迷子でしくじったら目も当てられない」
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