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あのおばさんは、望んで死神になったのだろうか?  死神スカウトに携わることになった今、折に触れて思い出す。おばさんの複雑そうな笑顔とカラシ色の残像。もちろん、あのおばさんのせいで母が亡くなったわけではないことも理解しているつもりだが、好意的に思えるはずもない。 死神は嫌われ者なのだ。  しかし死神ならではの苦悩を、一介のスカウト者である祐樹がわかるはずもない。  しかも駆け出しのスカウト者である祐樹にできることは、指定された場所に赴いて、死神資質者と契約を結ぶことがまずは先決だった。 「まずは契約を取ってからだが、その後のほうが仕事は大変になると思え」  時雨沢は得意げに言い放った。祐樹ははあと首を捻る。 「契約を取ったら、次は死神の仕事先に同行する。これをパートナー制と呼ぶ」 「……パートナー制、ですか」  祐樹はただオウム返しをするだけだった。  大きく頷くとピンと人差し指を立て、時雨沢は説明を続けた。 「最初は契約を取ること自体難しいが、キャパを考えてパートナー数は最大三人ってところだな」  まあ俺みたいに有能なスカウト者なら、例外もあるが。     
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