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「僕は、砂糖もミルクもたっぷり入れないと飲めないんです。でもコーヒー好きなんです よ」  彼によく似合っている。ぽっちゃりした体格の室長には、何となく甘いものが好きでい てほしかった。 「それで、突然だけど、成田くんが初めて見た死神は子供の頃……九歳の時ですね」  油断していた祐樹は、祐樹にしか知らないはずの事実を言い当てられて動揺した。 「……どうしてそれを、知っているんですか?」  カラシ色のおばさんは、祐樹が認識した唯一の死神だった。それから後も、何人か違和 感を覚える人たちに接触してきたが、通りすがりの人も多く、死神だという確信は持てて いなかった。  ただ、あのときのおばさんと同じ、少し淡い色の目をしていることが共通していた。 「成田くんが会ったのは、このセンターに所属していた死神で、登録された死神の情報に ついては細かい調査資料が残されているんだ」  室長は曖昧な微笑みを浮かべる。よく考えれば、室長のこの表情ばかり見ている気がす る。 「そうなんですか……」  そこから先は、室長に質問されるままに初めて死神を認識した出来事に始まり、過去に 「死神ではないか」と疑いを抱いた人物たちを覚えているだけ列挙した。自分でも不思議 なほど、祐樹は過去に出会った人物たちを記憶していた。     
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