第ニ話 死神とドロップアウト

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そして、祐樹を見据えた目もヘーゼル色だった。 ──こいつ、死神……。 間違いない、わかりやすすぎる死神だ。 出会いたいと焦がれていたものの、いざ目の前にすると、足が震えた。 が、こんなところで取り逃がすわけにはいかない。 「あんた、さっきから何の数字を呟いてるんだ?」  思わず初対面の少年に向かって話しかけた。少年は一瞬狼狽の表情を浮かべ、それから静かに無表情になっていった。 ──何だか気味の悪い奴……。  祐樹は少年の無表情にたじろぎそうになる。しかし次の瞬間にほとんど抑揚のない、のっぺりとした声を聞いた。 「……寿命」  えっ?  祐樹は聞き返した。それは人が普段発する声とはどこか調子が違っていた。ひどく平板で、イントネーションも微妙に違和感がある。 「寿命?って言ったか?」  大声で聞き返すと、少年は眉間にしわを寄せ苦し気に耳を塞ぐ。 ──大きな声が苦手なのかな。 「大声出して悪かった。寿命って言ったのか?」  祐樹はもう一度、慎重に切り出した。  少年は曖昧に頷き、しばらくためらっている様子だったがゆっくりと言った。 「寿命が見えるんだ」  そう言って少年は再び駅の往来にまなざしを向ける。     
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