第一話 死神スカウトはじめました

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──やめてくれ、皆まで言わなくても承知している。 「時雨沢くーん!」  とどめを刺される前に、女子の甲高い声が助けてくれた。時雨沢のやや後方で、同じ学 部の女子たち数人が嬉しそうに手を振っている。どの子も時雨沢びいきの女子たちだった。 「おー、おはよ」  にこやかに手を振り返す直前に、時雨沢が小さく舌打ちするのを祐樹は聞き逃さなかっ た。みんなは騙されている。この如才ない男の笑顔に。 「……行くぞ。とにかく、エリア変えられたくなかったらもっと頑張れよ?」  小さいが押し殺した声で時雨沢はつぶやいた。祐樹にかける言葉は語尾がやや荒かった し、肩に乗せられた手がやたらに重かった。
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