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 しかし結局、祐樹は「死神スカウト」という職業に携わることになった。男と一緒にセンターに出向くと、そこで今の上司にあたる時雨沢を紹介された。同時に死神の特性や現状などのもろもろを聞かされた。  死神は、専業と兼業がいるということ。いったんは高報酬ということもあって専業死神を選ぶ人が多いが、精神的な負担や労働時間の不規則さを理由に、「短時間パート」的に兼業死神にシフトする人が多い。あるいは、すっぱりと死神の世界から足を洗う。  というような状況で、死神の能力を持っていながら、きつい仕事であるため死神職を逃れている「潜在死神」が実に多く、専業死神をセンターでは強く欲している。しかし強制することができないので、何とか「死神っていいですよー。やりがいがあるお仕事ですよ」と説得し、死神の登録数を増やすのが祐樹たちの仕事のようだった。 「一度で登録してもらえるものじゃないから、根気よく通って心を開かせるんだ」  時雨沢の説明を祐樹は大人しく聞いていた。 「説得するための懐柔アイテムもたくさんある。年齢によって使い分けられるから。たと えば」  時雨沢は手にしていたクリアファイルの中を物色し始めた。 「ファストフードの割引券とか、居酒屋のドリンクチケットとか、おっ、スポーツクラブ の優待券なんてものもある」 「はあ……」  祐樹はうんざりした気持ちになった。 「そんなんで死神やる気になるんですか」     
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