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被告人質問はどんどん続く。
間に小休憩を挟みながら、どんどん続く。
ブラック会社で大変だったことや、闇金業者の督促が厳しかったことなどの情状酌量系の証言だけではなく。
被告人に不利な証言もちゃんと審理されていく。
お金の管理がずさんだったこと。
お金に困っていると言いながら、煙草はやめなかったこと。
スロットに興じていたこと。
ここでは被告人の性格が垣間見えました。
この男はどこにでもいる普通の……優しいけど、優柔不断な男だと、そう思いました。
他人に優しくて、だから自分にも優しかった男。
「偽札を作る、財布を盗む以外の犯罪は思いつかなかったのか」
の質問に対して
「強盗やひったくりも考えました。行動に移そうと物色したこともあります。でも、相手を怪我させるかもしれないと思ったら、どうしてもできませんでした」
だから、誰も傷つかないだろう偽札に手を出した。
男の性格を浮き彫りさせる返答だと思いました。
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