まっさらで透明な

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まっさらで透明な

 今日も私は彼を見る。  朝から眠るまで、ずっと見る。  彼は毎日寝起きは最悪、機嫌悪い。朝ご飯はちゃんと食べなきゃダメだよ。頭回らなくなっちゃう。  お母さん困らせちゃいけないよ。ご飯だって折角作ってくれたのに。  いつものように自転車登校。  友達と待ち合わせて、学校に向かう。  昨日のテレビの感想とか、ゲームの話とか。  でも良かった、女の子の話とかしてなくて。  学校の授業。  彼はたまに眠ってる。  何度も何度も見た、いつもの様子。  何で知ってるのかって?  私いつも彼を見ているもの。  一日中、ずっと彼の事ばかり考えて、彼の事ばかり見てる。  だからね、癖とかもよく知ってるの。  怖い?大丈夫だよ、バレないように見てるから。  休み時間。  同級生の子が彼に近付く。  やめて、近付かないで。  私は彼をずっと見ていたいの。笑いかけないで。  楽しそうに笑い合ったりしないで。  私、こんなに近くに居るのに。どうしてそんな笑顔を見せるの?  他の女の子と話すのを見ると苦しい。私はずっと見てるのに、どうして私には笑いかけてくれないの?  辛い、辛いよ。  あなたはもう私を見てくれない。  帰り道、いつもより幸せそうな顔。  …もう潮時なのかな。  ごめんね、未練がましくて。  このままじゃダメだって分かってるの。  もう行かなきゃならないのも分かってるの。  でもこのままずるずる未練を引きずる訳にもいかない。  ああ、私、もう行くね。  私が突然人間じゃなくなってから、もう一年。  ずっと好きだった彼を見ていたけど、人間とお化けじゃ一緒になれないよね。  次はちゃんと、生きられたらいいな。  さようなら。
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