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それ以来、わたしは会うたびにお金を渡すようになっていった。
しかし、手持ちのお金は早々に尽きてしまい、わたしは母にお小遣いをせがんでいた。
「お母さん、お小遣いほしいんだけど」
母はあからさまなため息をつき、不機嫌そうに言った。
「追加を渡したばかりじゃない。最近、お金の使い方が荒いんじゃない? 何に使っているの?」
飛田を救うためとは言えなかった。言ってしまえば、飛田の悲劇を知って母が動くだろう。それではだめなのだ。飛田を救うのはわたしだ。わたしも『特別』になりたいから。
口ごもった私に、母は業を煮やしたらしく「お小遣いはなし」と告げて、キッチンへ去っていった。
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