隣の芝生は青い

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新学期早々、そんなネガティブなことを考えながら、教室で一人ため息をついた時…… 「おはよう、波!」 元気な男子の声が教室に響き渡った。 「あっ、凪、おはよう! 元気にしてた~?」 私はそう言ってニッコリ笑うと…… 「おうっ! お前は?」 「うん、元気だよ!!」 「そうか! ブサイクなお前は元気なだけが取りえだもんな!」 「もう! 新学期早々、凪ったらっ!!」 凪は私の幼なじみで、幼稚園から高校までずっと一緒。しかも、クラスまで同じの腐れ縁。 特別、イケメンではないけれど、背は高くてスタイルは悪くない。 お調子者で私はよくからかわれている。 でも、物心ついた頃からずっと一緒にいて家族のような存在なので、クラスの男子の中では一番仲が良いし、彼がそばにいるだけで安心できる。 「波、おはよう!」 「あっ、おはよう、亜理沙! ひさしぶり~!」 続いて、モデルの仕事をしている親友の亜理沙が遅刻ギリギリに教室に入って来て私に笑顔を向けると、慌てて自分の席に着いた。 あ~、亜理沙のようにイケメンのやさしい彼氏が欲しいよぉ~ モデルとか芸能界にも憧れるなぁ…… 亜理沙はエレガントなロングの巻き髪で、透明感のある色白の肌にパッチリ大きな二重まぶたで美人な上に、ボディも出るところは出て締まるところは締まっていてナイスバディ、脚も細くて長くスタイル抜群! 性格も明るいし……当然、男子からはモテモテ。彼氏も学校一のイケメンだし、本当にうらやましい! それに引き換え私は……どちらかというと地味な顔立ちで胸もなくスタイルが悪いし……容姿には全く自信が持てない。おまけにのろまで鈍くさくて……これといって特徴のない、どこにでもいるような女子高生で、亜理沙とは対照的。 悔しいけれど、凪の言うように私は元気なだけが取りえだ…… こんなコンプレックスのかたまりのような私にイケメンの彼氏なんてできるわけがないよなぁ…… あ~ぁ…… 波は授業が始まったことも忘れ、落胆して両手を組んで机の上に置いた両腕に顔を伏せた。
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