第1章

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  おまけに住人である僕に対して、ブサイクだの可愛くないだのどっかに行けだの。   なんたる失礼極まりない態度。   いくらほんのちょっと可愛いからって、いやだいぶコマーシャルでしか見たことがないあの女優にななめ45°が似ているからって、綺麗な二重に透明感しか感じられない肌の感じとかがもうすっごく素敵だな、なんて思ったりしたけど、それでも許すわけにはいかない。   だってここは僕の家なのだ。   ワンルームに申し訳ばかりの狭いキッチンとバスルームがくっついただけでも、それでも僕の家なのだ。   自分のテリトリーを守るのは、当たり前だ。 「うなあああああ(僕の家で何をやってるんだよ!)」   ベランダへ出てこようとする女に向かって、目一杯の威嚇をして見せた。 「なんなのもう! このブサイク! どっかに行ってよ!」   このままこの鋭い爪をお見舞いしてやるしかないか、と思った時だった。
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