第1章

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「にゃあん」  女の足元から、白いふわふわの猫が顔を出した。  ほとんど白くてわたあめみたいな毛に覆われた、丸い目の猫で、不思議そうな顔で僕を見ている。 「あ、キララちゃんは出てこなくていいからね。野良なんかに関わったら変な病気をもらっても行けないし」  この女、完全に前言撤回だ。  他人の住居を勝手に占拠した挙句に、ペットまで飼ってるなんて。  顔面偏差値がなんだ、こんな暴挙は許しちゃいけない。 「シャ……(この……)」  爪を全開にして、僕を押しのけようとする女の足に標的を定めた時だった。 「にゃあうん?(あなた、人間ね?)」  白い猫が、喋った。
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