第1章

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1  目が覚めたら、猫だった。  左腕を下にして寝る癖なんだが、うっすら開いた瞼の間から見えたのは、なんだかフサフサしていた。  ああ、ふわふわしていて良いな。  最初に思ったのはそれだった。  なんかこう、ふわふわしていて気持ちがいい。  ところが頭がだんだんとはっきりしてくると、ふわふわがどうだとか手のひらがプニプニしているだのと言っていられなくなった。  ひゅう、と吹き込んだ風にブルブルっと震えてそれで、知ったのだ。  どうやら目が覚めたのは、公園らしき場所の土管らしきものの中だったらしい。  自宅のベッドで寝ていたはずなのに、これは一体どういうことだろう。いやいや待て、そもそもなんでこんなに視界が低いんだ。  名前もよく分からない草が、やたらとでっかく感じるのはおかしいじゃないか、どう考えても。
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