第1章

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 細めで小さめの目で、耳も普通、毛も普通、どこと言って取り柄のない、どこにでもいるフツーの猫の姿を確認して、少しだけ残念に思いつつ安心したような気分になった。  公園内をうろついて見たが、どうやらここはさほど面白いものはない。  錆びついた遊具が二つと、こちらも色のハゲたベンチが一つ。  砂か固まりきって落ち葉だらけとなった砂場に、手入れが行き届いていないことが丸わかりの植木がいくつか伸び放題になっている。住宅地らしい中にポツンとある、誰もこない隙間のような場所だった。  僕の脳がつくる夢にしちゃ、よくできている。 少し感心しながら、もうここにはも見るものもないなと思った。となると、このパターンなら次の行動はあれしかない。  そう思い当たって、僕は冷えた土の上を歩き始めた。
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