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地下室に入れられる前、たくさんの村人が私の姿を見ていたけれど、だれ一人助けようとはしてくれなかった。
私に食事を運んできたり、水浴びをさせたりするのは女の仕事のようだったけど、同じ人が続けて私のもとに来ることはなかった。
いっそ殺してほしいと願う時期もあったが、村人たちはどういうわけか、私を殺す気は微塵もないようだった。
そして三年前のあの日、その理由がやっとわかった。
あの夜、突然私は外に出された。
ここしばらく、ろくに食事も与えられておらず、水浴びもしていなかったから、私はついに村人が私の世話をするのに飽きたか、殺そうとしているのだと思っていた。
私の考えはそう外れてはいなかった。
村人達は私のことを縛って村の外に連れ出し、森の前にある広い草原まで連れだすと、そこからせり出した大きな岩の前に私を放り投げて、何かを祈りだした。
どうやら最近、この村では日照りが続いていたらしい。村人たちは私を、雨乞いのために神への生贄として捧げるつもりらしかった。
私は呆れた。それを通り越して笑ってしまった。
この人達はなんて馬鹿なんだろう。神など居やしないのに。
そして、なんて憎らしい。ただ、こんな日のために、居もしない神への捧げものとして私を連れてきて、ただ生かしていたなんて。
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