星の子

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 月のない夜のことだった。  満天の星空の下、私は草原からせり出した岩の上、初めて先生と出会った場所に、先生と並んで立っていた。  遠くに、ずっと憎み続けてきたあの村の明かりが見える。  それを眺めながら、私の心は凪いでいた。  ついに今日、私の目的は果たされる。私はあの村を燃やし尽くして自分も燃え尽き、あの夜空へ還るのだ。  私は隣に立つ先生を見た。先生は背が高いから、近くで顔を見ようとするとどうしても見上げる形になる。  「先生」  声をかけると、先生は私と目を合わせてくれた。  「今日まで、本当にお世話になりました」 「良いんだよ」  先生は薄く微笑んだ。  「よく私の世話をしてくれたしね。私の方こそ助かったよ」  そう言って、先生は少し切なさを滲ませる声で言った。  「……お前が居なくなると、寂しくなるよ」 「大丈夫です。星になっても、あの空の上から、いつだって先生のことを思っています」  そう言うと、先生はそっと私のことを抱きしめてくれた。  「……最後に、お前に名前を返そうね。ルーン、契約は果たされた。お前はこれから望みを果たし、あの空の星に還る」     
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