星の子

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 すると、無感情だった魔女の視線に、何か憐みのようなものが混ざった。  「……神など、存在しないのにね」  そんなこと、とっくの昔に知っていた。  私には、何故憐れまれるのか、魔女に向けられる感情の理由はわからなかった。  「復讐だなんて、随分と過激なことを考えるね」 「貴女には出来ない?」 「……いいや、出来るよ。出来るが、お前は人ではなくなる。それに、直ぐにとはいかない。それなりに時間も掛かる」 「構わない」  既に私に残されたものなど、何一つなかった。復讐さえ遂げられるなら、人でなくなろうが気にはならない。 「……だろうね」  魔女は視線に憐れみを含ませたまま、ならばと此方に手を差し出した。  「名乗りなさい、人の子。願いと名前が揃って初めて、お前と私の間には契約が成立する」  魔女の言葉に、私は応えた。  「私は、ルーン」 「ルーン?」 「ええ。私はルーン。いつの日か復讐を遂げる、そのために力を望む者!」 「……良いだろう」  その瞬間、私の中で何かが砕ける、カシャンという音が響いた。  吹き荒れていた風が止み、辺りは静寂に包まれる。  気が付くと、私は魔女の真正面に立ち、右の手首を掴まれていた。     
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