0人が本棚に入れています
本棚に追加
星の欠片が完全に私の身体に馴染むまで、少なくとも三年は掛かる。そしてその間に、私の身体は段々と、人としての機能を果たさなくなる。瞳は透き通る青に、肌は煌めく白に、そして髪は、瞬く星の銀色に変わる。やがて、食事も睡眠も必要なくなり、最後には星に還る。
星に還るその間際、私は爆発的な力を手に入れる。その時、あの村全てを焼き尽くし、この世界から抹消できるだろう、と。
私は納得して頷き、星の欠片を手に取った。
今、自分の命を懸けたところで、私には人一人殺すことは出来はしない。
けれども、三年待てば、私はあの村ごと、この世界から消すことができる。
星の欠片はほんのりと温かかった。
飲み込むと、じわりじわりとその温かさが身体中に広がるのを感じた。
それから、魔女との共同生活が始まった。
魔女は私に名前を教えなかった。それから、私の名前を呼ぶこともしなかった。
私自身、私の名前は口に出せなかった。今は私のものではないから、簡単に口に出すことは出来ないのだと魔女は言った。
呼び名を尋ねても好きにしろ、としか魔女は言わなかったので、私は彼女を『先生』と呼ぶことにした。
先生は私のことを、『お前』、もしくは『星の子』と呼んだ。
私はこの星の子、という呼び名が嫌いではなかった。
先生はまず、私に生きるための術を教えた。料理や洗濯、掃除など、日常生活に欠かせない家事のことだ。
最初のコメントを投稿しよう!