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「片付いてる! すっごい! さすが菜摘!」
「はいはい」
キャンキャン吠える小動物みたいな幼なじみにつめたい一瞥を投げ、
「教えてあげるから。一緒につくろうか」
と、救いの手を差し伸べてやった。
小動物のまるい目が、きらんと光った。
バレンタインデーに友チョコを贈るなどというめんどくさい習慣がいつ広まったのかはわからない。
小学校時代から女子たちはおのおのキュートなお菓子をつくり、キュートなラッピングをほどこし、学校ではお菓子のやりとりはもちろん禁止だから、公園に持ち寄って配り合っていた。
こっそりと男子に渡している子もいたのかもしれないけど、わたしの仲の良い子たちの間にはいなかった。だからわたしはガチの本命チョコなどというものを目にしたことがない。
はまちーは昔から不器用だ。どれぐらい不器用かというと、ヨーグルトに缶詰のフルーツを混ぜるだけの簡単デザートですら失敗してしまうほどなのだ。なぜか「手作り」という縛りができていた友チョコ交換イベントだったけど、いつも彼女は母親につくってもらっていた。
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