男子禁制バレンタイン

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 ま、はまちーだけじゃなくて、みんな、だれかに手伝ってもらって可愛いチョコをつくりあげてたんだと思うけど。自分ひとりでつくったのすごいでしょ、ってカオしてたよね、みんな。  中学生になってからは、もうそういうの疲れるし、ホントに仲良い子たちで、買ってきたお菓子を囲んでパーティするほうが楽しくない? って流れになって。去年もはまちー宅で「友チョコ会」を開催した。なぜかチョコじゃなくてたこ焼きパーティになっちゃったけど。楽しかったな。  今年もたこパで良かったのに。まさかはまちーが、ガチでチョコをつくろうとしていたとは。驚きだった。 「ただ固めるやつじゃなくてさ。トリュフがよくない?」  わたしの提案に、はまちーは怪訝そうに眉を寄せた。 「豚が探す高級なキノコ?」 「いや、そっちのトリュフじゃなくって」  わたしはため息をついた。 「生クリームにチョコを溶かして混ぜて固めて、ココアパウダーにまぶしたやつ。ちょっとぐらい見た目がいびつでも、それも味って感じだし、溶かして固めるチョコより失敗少ないし、おいしいよ」 「そうする!」  はまちーはぴんと尻尾をたてた。いや、もちろん尻尾なんてないんだけど。 「みかげっ! 生クリーム買ってきてっ!」  はまちーが喜々として叫ぶ。自分が買ってきたわさび味の柿ピーを食べていたみかげは、はあー? と眉間にしわを寄せた。     
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