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私は階段を少しずつ登った。大きな歓声がステージから聞こえてくる。
「とうとうここまで来たんだ」私は震える手を握り締めながら、スポットライトに向かった。
1年前、私は普通の女の子だった。
すると街角で、声を掛けられた。
「あなた、アイドルになってみませんか?」
「はっ?」思ってもみなかった私は、興味を惹かれた。
「私はこういう者です」シルクハットを被ったおじさんが名刺を差し出した。
" 地下アイドル養成所 虎の穴 指導者ミスターX "
と書かれていた。
「あなたには可能性がある」その言葉に私は、二つ返事で了解した。
それから虎の穴で、猛特訓が始まった。
体力トレーニングに発声訓練、ダンスに魅了する仕草と、あらゆるカリキュラムが組まれた。
私がくじけそうになる度ミスターXさんは「虎だ虎だ!お前は虎になるのだ!」と虎ではなく、アイドルを目指す私を励ましてくれた。
そして数いる訓練生の中で、トップを走り続けた。
そしてデビュー間近という時に、あの事件が起こったのだ。
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