第2章 昨日の敵は今日の友

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第2章 昨日の敵は今日の友

ある日、事務所に挑戦状が届いた。虎の穴からだ。 数社の事務所からアイドル達が集う、イベントに対する誘いであった。 「アズミ、何か企んでるわよ」社長のメエが心配そうに言った。 「大丈夫、任せて下さい」 「まあ、アズミなら大丈夫と思うけど」 そして本番当日。 5人のアイドルがステージ上で、司会者によるトークショーで華を咲かせていた。 他の3人は大した事なさそうね。 問題はこの子だわ。 虎の穴の刺客、赤き生地のカリンだ。 彼女は呼び名の様に、真っ赤な衣装が目を引いた。 但し、目も真っ赤であった。 きっと寝不足なのね。 しかし、そんな体調管理も出来ない相手は、アズミの敵では無かった。 司会者の質問に答えた後、アズミは「いつも応援してくれて、ありがとう~!」と観客に手を振った。 うわあーっと言う歓声の中、アズミは必殺技、ピースアイレボリューションを放った。 「うおおーっ!」 説明しよう。 ピースアイレボリューションとは、ピースした手を横に向け、目の位置に当てながら適度に微笑む必殺技である。 観客は、もうアズミの虜になっていた。 そしてショーの終わりに別れ際の必殺技、ラブファントムが炸裂した。 説明しよう。 ラブファントムとは、口をうの状態にして手のひらで口を押さえ、そこから放物線を描きながら客席に向けて、手を90度動かす離れ業である。 要は投げキッスである。
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