一章3 『脳仕掛けの相棒』 ※挿絵有

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 強めに批判されたので自重しようと思いきや、たぶんウチは今夜こっそり勝手に記載する。 「日記の話題も出たし、折角だから施設に帰る間に日記照会をしておくか? まだ時間かかるし」 「へーい。了解」  嫌そうな顔をしながら付き合ってくれるアルビ。ういやつよのう。  最初は苦手としていた思念魔力も向上し、表情をコロコロ変える。動きに合わせて頭の後ろに付いた蝶型の髪飾りも揺れる。かわいい。ウチのフナムシとお揃いの虫しばりにしたらしい。かわいい。  本来は樹脂に包まれた動く脳だが、表面に立体映像が張り付き、表情を作っている様に見える。周囲の人間の脳にそう見える様、思念魔力を飛ばしてるのである。  思念魔力。場所によってはテレキネシスとも呼ばれるこの魔力は、基本的な2大魔力の1つだ。記憶を無くした直後のウチも知っていたくらいだし、生活に染み付いた知識なんだろう。  出来ることは別の対象の脳に情報を転送する事。相手が拒否しなければお互いに会話したり、記憶している映像を共有したり、見せたい画像を見せたり出来る。今アルビがしている表情の偽装も、”こう見せたい”とアルビが思った映像を思念魔力で周囲に人間に送っているから見えるのだ。     
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