一章3 『脳仕掛けの相棒』 ※挿絵有

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 今は考えるのをよそう。本当に、取り返しがつかない記憶が眠ってる気がするんだ。その記憶を思い出したら、ウチがウチでいられなくなるような。  でも、その記憶を思い出さなかったら。もしそれが親しい人を亡くした記憶だったら。その人を想ってあげることのできる人は、減ってしまうのかな。  ネガティブな思考にどんどん陥ってた矢先、ウチ等の住む施設が見えて来た。みんな腹を空かせてるだろうし、アルビとの会話は一旦おあずけ。日記照会はまた食後。 「「ただいまー」」  色々あったけど行きつく先が見つかって本当に良かった。  ここが今ウチ等が住む家、脳をオーバークロックした兵士やグーバスクロ兵に攻撃されて脳に障害を持った、脳障害患者の住まう共同施設だ。  このような施設は近年どんどん増加傾向にあると聞く。  戦争の爪痕は、何もウチ等だけに残されたものではない。
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