一章4 『肉の国の狂兵士』※挿絵有

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一章4 『肉の国の狂兵士』※挿絵有

 今日の料理当番はウチとアルビ。というかほぼ毎日ウチ等。  この施設ではまともに動ける人間が少ない。皆何かしらの理由で後天的に脳にダメージを受け、体を動かせない人がほとんどだ。  寝たきり、思考力低下、記憶力低下。多くの脳が抱える問題を彼らは背負っている。そのほぼ全てが、此度の戦争の被害者か当事者だ。当事者と言っても全員防衛にあたった軍人で、仕掛け人ではない。  現状、我がマキナヴィス共和国はグーバスクロ帝国に押されるままで、各地で防戦一方だと聞く。何でもグーバニアン共はテロやゲリラまがいの戦法で、戦争に勝利するというより虐殺が目的の様な動きをしており、意図が読めないのだそうだ。  その上で最前線となる主戦場もあるんだから質が悪い。  その被害者たちの中にあって、記憶に障害があるとはいえ、体を自由に動かせ日常を送れるウチ等は必然的にみんなの世話役になりやすい。  軽い障害なのに住む場所もらってるだけでめっけもんだ。文句は言うまい。  というか特にウチ等はバイト以外にはやることも無いので、時間をつぶすのに毎日の買い出しと料理は丁度いいくらいだ。     
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