28人が本棚に入れています
本棚に追加
/739ページ
昼食の評価は上々。自分でも意外だがウチは料理が得意らしい。ここで過ごす中で分かってくる自分の正体もあるってことだ。
「さてそろそろ、ズンコの所かな」
「うえー」
明らかにテンションの低いアルビ。うん。まぁわかるよ。
ただウチ等にも生活費は必要だ。完全に動けない人には国から支援金が出るが、戦争は激化の一途を辿っておりその額は減少傾向。支援を受けることが出来る人のハードルもどんどん上がっている。
ウチ等は健常児レベルだそうだ。サイですか。
軍に戻ってみるのはどうかとアルビに提案したことはある。記憶はないが、ウチは元々軍人だったみたいだし。軍人なら衣食住保証されるだろう。
ただアルビは反対した。そりゃアルビは元々民間人だ。戦場には行きたくないだろう。ウチも全然覚えてないけどわざわざ行きたくは無い。つ~訳でこの案はポシャった。
(ほんとウチは、何で軍人なんかやってたのかな)
守りたいものがあったのか。だとしたらそのものは今どうしているのか。
胸に、ぽっかりと、穴が…
謎の悲壮感と焦燥感に襲われ、ウチは早めに身支度を整えた。
そりゃ軍人なんてやってたんだから色々訳アリだろう。この思考は一旦置いておいた方が良い。
少なくともこれからズンコの所に行くならなおさらだ。憂鬱の種を自ら増やしてどうする。
* * *
最初のコメントを投稿しよう!