一章4 『肉の国の狂兵士』※挿絵有

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 昼食の評価は上々。自分でも意外だがウチは料理が得意らしい。ここで過ごす中で分かってくる自分の正体もあるってことだ。 「さてそろそろ、ズンコの所かな」 「うえー」  明らかにテンションの低いアルビ。うん。まぁわかるよ。  ただウチ等にも生活費は必要だ。完全に動けない人には国から支援金が出るが、戦争は激化の一途を辿っておりその額は減少傾向。支援を受けることが出来る人のハードルもどんどん上がっている。  ウチ等は健常児レベルだそうだ。サイですか。  軍に戻ってみるのはどうかとアルビに提案したことはある。記憶はないが、ウチは元々軍人だったみたいだし。軍人なら衣食住保証されるだろう。  ただアルビは反対した。そりゃアルビは元々民間人だ。戦場には行きたくないだろう。ウチも全然覚えてないけどわざわざ行きたくは無い。つ~訳でこの案はポシャった。 (ほんとウチは、何で軍人なんかやってたのかな)  守りたいものがあったのか。だとしたらそのものは今どうしているのか。  胸に、ぽっかりと、穴が…  謎の悲壮感と焦燥感に襲われ、ウチは早めに身支度を整えた。  そりゃ軍人なんてやってたんだから色々訳アリだろう。この思考は一旦置いておいた方が良い。  少なくともこれからズンコの所に行くならなおさらだ。憂鬱の種を自ら増やしてどうする。    * * *     
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