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「……よく分かんなくなっちゃった」
講義が終わってみんなが立ち上がる中、あたしは机に突っ伏したまま呟いた。
「どうしたの?ミクちゃん、珍しいね…もしかして体調悪い?」
ひなちゃんが心配してくれる……いつものあたしなら、こんな失態は見せないのに……。
最近はなんか変。
ひなちゃんはおもむろにあたしの隣に座ると、両手を取って真剣な目で見つめてきた。
「……あたし、ミクちゃんが大好き!」
「ど……どうしたの?急に……」
「……ミクちゃん、いつもしっかりしててあたしの相談にも乗ってくれるでしょ?でも……たまに無理して笑ってないかな?って思う……」
……嘘。
今までも……気付かれてた?
「あたしじゃ頼りにならないかもしれないけど……愚痴ぐらいは聞くからね!何か出来ることあったら、教えてね?」
「……ひなちゃん」
入学してすぐに知り合った。
慣れない場所で緊張して固まってるのが可愛くて、思わず声をかけたけど。
ひなちゃんは中身も可愛くて、いつも一生懸命で素直で……
あたしにないものをたくさん持っていた。
この子と友達になりたいって
そう思ったんだ。
「……ひなちゃんに初めて会った時と似てるのかも」
「え?あたしに?」
「初対面なのに運命感じたっていうか、あたしこの子好きだなぁって思ったの……。
今もね……気になるの…………富田さんのこと……」
「えっえぇぇっ!?ホントに…!?」
顔が熱い。
両手で顔を隠してみたけど、多分真っ赤なのバレてるよね。
ひなちゃんが嬉しそうに顔を綻ばせる。
「……ねぇ、会いに行こう!?」
「えっ!?」
「富田さんの家ってうちの近くなんだよ!しょっちゅううちのコンビニにも来てるもん。ゆうくんに場所聞いてみる!」
「……でも、そんな……」
「……会いたくない?」
……あたしは、
あの時、
この人の恋人になりたいって
そう思ったの。
「……会いたい……」
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