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しかし、私の足はまるで鉛がついているかの様に重く、突発的な気持ちが先走り過ぎたのか、バランスを崩して膝から倒れてしまう。
男の子の後ろ姿だけからは目が離せずにいた私は、狂いそうな位の感情に捕われてしまって声をあげながら泣いていた。
そして辺りが真っ白になると、目頭が熱くなり、目尻から流れる涙の感覚が現実味を帯てきて目を覚ます。
瞬きをすると残った涙が耳元まで流れて、夢を見ながら泣いていた事が分かった。
完全に覚醒為きれていない脳はまだ夢の余韻が谺している。
いったい、あの子は誰なんだろう…
そうは思うものの、しかし、気にはなるが夢は夢。
知らない誰かが出てくる事なんて、よくある事だ。
深い溜め息を吐くと、見た夢から意識を断ち切る様に、目が覚めてから感じる、違和感のあるこの現実に意識を向けた。
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