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鈴原誠一 #2
一人で考えれば考える程どんどん思考がずれていく。
一人でいる事が余計に現実感を削ぎ落としていく。
その現実から浮遊していく私を一気に現実に引き戻したのは、 腰にあるポケットの中でなる携帯の振動だった。
いきなり体に携帯の振動が伝わる物だから、今日で何度目になるだろう、今度は心臓までがショートしてしまうんじゃないかと思ってしまう。
溜め息を吐くと携帯を開いた。
携帯の着信画面に出てる名前には[君]付けされてはいないが、例の[誠一くん]だ。
この人が病院に連れて行ってくれるらしい彼が、読んで字の如く誠実一番な人であればいいのだが…
でも、母の知り合いで向こうも私を知っているなら、(母には男兄弟はいないが)叔父さん的感覚で別に何の気も使わなくてもいいだろう…
そんな事を思いながら携帯の通話ボタンを押した。
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