眠る青年

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街から少し離れた山の麓(ふもと)から街を見下ろす様に佇む〇〇Δ総合病院。   そこの北病棟407号室の個室には眠り続けている25歳の一人の青年がいる。   今日は月曜日なだけあってこの病棟に見舞う客の数は少ないが、彼の元には頻(しき)りに様子を見に来る客人が絶えない。   「…はい、そうですね。まだ変わりは…はい…わかりました」   今もその青年の様子を見ていた男が電話で彼の容態を伝え終えた所だ。   短い茶髪で、ツンツンと髪を立てる様にセットしていて、目が鋭く面長の顔が印象的なその男は、携帯を背広の内ポケットに仕舞うと、その眠ったままの彼に一礼をしてから病室を後にした。   病院を出る為、一階正面入口を前にした男は、今から病院に入ろうと前方から歩いて来る美咲達をガラス越しに気付くと一瞬足を止めた。   だが直ぐに、何事もなかったかの様に歩き始めると、美咲達と入れ違う様にして外に出る。   「可哀想に…」   男はぼそりと呟くと、溜め息を溢して、遠い空を見上げながら歩いて行った。
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