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「困るよ~望月君。昨日病室抜け出したんだって?」
困窮した弱々しい声が響く〇〇△総合病院の北病棟407号の病室。
つい3日前まで眠り続けていた青年は、精神科医の奥野和義(37)から説教を受けていた。
「外科部長からもうちの部長からも私の教育が甘いだとか散々言われたんだから~。いくら院長とお父さんが親しいからって、抜け出すのは駄目だよ~?まだリハビリ中でしょ?意識戻って、少し歩ける様になったからってムリはいけないよ~分かってる?」
「すみませんでした…」
何一つ言葉を足さずに只謝る青年、望月圭吾に奥野は溜め息を洩らした。
「院長にはこの事は…?」
顔を顰めて真っ直ぐに奥野を捉えた圭吾は、気まずそうな声で聞いた。
「言える訳ないじゃないか~、もし院長から君のお父さんに話しが伝わってみてよ~、そんな事なったら…分かるだろ?」
苛立ちを隠し切れない奥野だったが、予測される事態に血相を変え狼狽した様子で辺りを気にしながら小声で言う。
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