記憶の破片Ⅰ

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最後は格言を避けてはいた物の、圭吾にはその後に続く可くした言葉に苦笑いを浮かべるしかなく…   「そうですよね…」   と、取り敢えず、報告が行っていない事に安堵した胸をそっと撫で下ろす。   「まぁ、入院中は退屈だろうけど、そう言うのは気をつけてくれないと~、君ももう一人の医者なんだからそれ位分かるだろ?」   「はい…」   奥野の所説に虚心坦懐な圭吾に言葉を失った奥野は煩悩を払う様に頭を掻いた。   「…ところで奥野先生…」   暫く沈思黙考していた圭吾だったが、顔を上げ話しを切り出した。   「先生が担当為れてる患者に鈴原美咲って言う私の友達がいると聞いて、その…彼女に記憶障害が出てるって事も話しには聞いてたんですが…、一体どの様な状態なんですか?」   そう聞き出した圭吾は見るからに気に病んで、意気阻喪した顔色をしていた。
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