ギャルとイケメン #2

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  が…   背が高くない私は伸ばした手の爪先に本がやっと当たった程度。   こんな場所まで来て、オメオメと諦めて帰る訳にもいかず何度も手を伸ばしていた時だった。   すっと目の前に綺麗な形の大きな手が視界に現れると、今必死に取ろうと為ていたその本は簡単に取り出されてしまった。 もしかして、背の低い私の代わりに取ってくれたのかと思い、暫く親切な青年だなーと彼を見ていたが、一向に本を渡すことなく、ペラペラとページをめくり読み始めたその青年に、私は疑問視する。   それは私が先に取ろうとしていた本なんだけど!!!   私はその本を取った綺麗な手の主に目をやった。   「え…?この本…取ったらまずかった?」   その声の主は、見上げている私をとぼけた顔をして見下ろしていた。 目鼻立ちが整っていて、切長で少し下がった目尻が印象的なその青年は、正に容姿艶麗。   その彼との距離が、拳一つ分しか間隔の空いてない程の至近距離だったので、思わず顔が熱くなり反射的に一歩後退した。   涼しい館内にも関わらず汗ばんでしまったが、冷静さを取り戻し、「その本、私が必死で取ろうとしていた事、見えてませんでしたか?」と、不信感を感じながら言おうとした時だった。   「冗談ですよ…この本を取りたかったんですよね?」   青年はふっと笑ってそう言うと、私に本を差し出した。
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