0人が本棚に入れています
本棚に追加
自分よりも若いと思われる男の軽い冗談に、軽くあしらわれてしまった大人気ない自分に恥じ、落ち着きを取り戻してから、余裕のある大人の笑顔を作り
「態々すみません。ありがとうございます。」
と言って見せた私。
見上げて見る顔は嫉妬する程整っているし、整髪料を使ってセット為れてないその髪は羨ましい程さらっと綺麗で…
「いいえ」と言って私の手に本を渡す彼の伏し目がちな目は、男に為ておくのが勿体無いない程長い睫毛で一層綺麗に見える。
一応私も、睫毛は長くて多いと言われていた方だったのだが、5年と言う月日は、その睫毛を、そう、森だったものから林程度に伐採されていて…
彼の顔を見ると、自分にどんどん自身が無くなってくるのを感じた。
ぼんやりと嫉妬の念を込めた視線を送って居ると、彼が視線を上げたので目が合ってしまった。
我に返った途端、どきっと心臓が大きく跳ねて、今度は自分に視線を向けられている事に緊張と恥ずかしさで顔が再び熱くなってくる。
長く目を合わせていられなくて、お辞儀をしてこの場から離れようとした。
最初のコメントを投稿しよう!