0人が本棚に入れています
本棚に追加
だけど、やっぱり声は低いままだ。
「少し歩きながら考えたい事があって…」
私が無表情に戻った斜め前に歩いている圭吾にそう言うと、彼は「…そう」とだけ返してきた。
「…あのお店の人、凄くいい人だね。…圭吾君の事も良く解ってくれてるみたいだし、弟みたいに思ってるって言ってたし…」
私は彼、圭吾のいる環境に少しだけ触れたせいなのか、私は彼のそんな世界に羨ましいとさえ思えて喋りながら口元が緩んだ。
すると、彼はより一層低い声で言い捨てた。
「…ゲイだよ、あの人。酒癖悪いし、すぐ脱ぐし。」
ゲイ!?脱ぐ!?
私は、思いも由らぬ言葉に目を丸くしてしまった。
そして、昼間少しの時間共にした、あの優しそうな男の姿を思い出してしまったのだ。
ぬ…脱ぐんですか!?
私の脳が想像力豊か過ぎるせいなのか、勝手にあの優しそうな顔とギャップのあるあの男の体型をリアルに思い出させた。
そして、別にいやらしい気持ちからではないが、この想像した物がどれだけ一致するか、テストで答え合わせをする様に、確認してみたいと云った思いが出てくるのだが…
「顔…赤くなってるけど…」
最初のコメントを投稿しよう!