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圭吾は息を吸うと共に顔を上げ空を見上げた。
「新月…か…どうりで(辺りが)暗いはず」
そう言って深く息を吐き振り返った。
「…とにかく、あの家に帰るんだったら、美咲さんは何も知ろうとしない方がいいよ。ムリすると返って状態が悪くなるかもしれないから…。送るから乗って。」
そう言って、そこに駐車してある車のうちの一台にキーを向けるとライトを点滅させた。
普通の声色に戻っても、感情が見えない突き放す様な彼の話し方に寂しさと悲しさにも似た感情が湧き上がってくる。
昼間にあんな事を言ったから?
昨日は知りたい事を教えてくれたのに…。
旦那の元に戻るなら知らない方がいいって…それはうまくいかない様な何かがあって、それを知っているから?
何を知ってるって言うの?
そして、昨日の事…
彼圭吾は、本気で私の事を?
昼間確かめる事が出来なかったから…聞いてみたい。
知りたい事聞きたい事は沢山あるのに、圭吾から釘を挿されてどんどん胸の内に鬱積していく。
一人で帰ろうと思えば、まだバスも電車もあり断る事も出来た。
だけど、別の場所で蓄積されている別の何かによって私はそれが出来ないで、言われるままに送ってもらう事にした。
今はっきり分かるのは、まだ圭吾と別れたくないと感じている事。
私はまだ圭吾と一緒にいたかったのだ。
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