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「家……とそれを寂しげに照らす月?(笑)」
「…分かった」
ぶつりと切った圭吾の声は、今までで一番低く、冷たく感じた。
しまった…
私は固まってしまった。
他に目印となりそうな物がなく、救い様のない自分の状況に、つい茶化してしまったのだ。
機嫌悪いのにふざけて、更に油を注いで燃え盛らせてしまった。
どうしよう…
自分の情けなさに、泣きそうになってきた。
見た目は27でも、中身はまだ22のまま…
彼の方が年下だと言うのに、彼が随分年上に感じて余計に自分自身の情けない姿を思い知らされる。
とにかく、歩こう…
私はゆっくりと歩き始めた。
苦手だったのだ、昔から。
人に心配かけたりする事が、苦手だった。
だから昔、親から暴力振るわれてるなんて誰にも言えなかったし、感付かれない様に馬鹿みたいに明るくした。
中学生の時一度だけ顔を殴られて、目の回りを青くして学校に行った時も「転んだら机の角でぶつけて、まぢ死ぬかと思った~」なんて言って笑って誤魔化した事もある。
丁度良いのか悪いのか、当時ドジばっか踏んでた事もあり、その時ばかりはドジな自分に助けられたっけ。
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